story
No.30 天野ミサさんのアクセサリー
丘を登り目の前に現われた藤のアーチと花びらが光に透ける姿、
人の行き交う夕暮れの広場でワインを飲みながら見上げた教会、
イタリアのフィレンツェでみた心動かされる景色たち。
長い旅から戻られたアクセサリー作家の天野ミサさんが、
旅の記憶をたどるように制作されたアクセサリーをリゼッタでお披露目して下さいました。
透かし彫りの修行で工房に通うため、以前フィレンツェに滞在していた天野さん。
その頃は技術を身につけたい一心でしたが、今回の旅では彫金道具はもたずに、 カメラとスケッチブック傍らに公園へ行ったり、
市場で食材を手に入れて料理したりと、 のんびり過ごされたそうです。
「古い街並みや、教会などのひんやりと張りつめた空気が好き」と語られるように、
フィレンツェで好きなものをたっぷり吸収された充足感がアクセサリーから伝わってきます。
天野ミサさんは力強い構図に繊細な作り、また独特なモチーフ選びなど 魅力的な作品を作り続けていらっしゃいます。
そんな天野さんの制作の源について伺うと、それはとても日常的なものでした。
小さなころから虫、特にゴマダラカミキリや蝶、トンボが好きで標本を自分で作るほどだったとか。
今も自然の中で暮らしているため、様々な虫や植物に出会い、その中で愛情を感じたものをモチーフに選び、
そのいきものたちをまずは観察してスケッチすることから制作がはじまります。
好きなものを感じて、好きなものを作る...
シンプルな思いと日々への愛情が魅力的な作品へとつながっています。