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No.48 古い布に出会って1


最初に泊まったパリのプチホテル。左岸のセーヌからほど近い場所で部屋には壁一面に柄の布が貼られていて、ベッドプレスやカーテンまで柄のちがう同じような布が使われていた。あの頃はホテルのほとんどがそんな感じだったと記憶しているしパリに泊まる場合こういったホテルに泊まるのに憧れていた時代だった。

私には少しこってりとした印象があって、スーベニールやキッチン雑貨とかあらゆるものにこういう柄を使っていたように思う。フランスに行くたびに目にするこの単色刷りの模様が《トワル ド ジュイ》だと知ったのはだいぶ最近になってからだ。


今回コレクションにトワル ド ジュイを入れるにあたっていろいろと調べてはみたけれど、あまり詳しいことはわからなかった。ヨーロッパで大流行したインド更紗にだいぶ遅れをとって、パリの近郊ベルサイユにほど近いJouy-en-josasという町でつくられはじめたことからToil de Jouy(トワル・ド・ジュイ)と呼ばれるようになる。

それまでフランスはインド更紗といわれる綿布の輸入を長きにわたり禁止していたため近国にだいぶ遅れをとって普及したらしい。プリントは木版から銅版へと変わっていき、モチーフには神話や田園風景などが描かれていている。18世紀には宮廷にも認められ「王立」の称号を与えられ、マリーアントワネットもとても愛したといわれている。


前提としてJouy-en-josasでつくられたテキスタイルだけを《トワル ド ジュイ》と呼ぶらしい。でもあまりにもフランスのなかで日常化したためか、あまりそれについての詳しい資料は残っていないらしい。フランス人にとってトワルドジュイかそうじゃないかは些末なことなのかもしれない。それだけ長きにわたって暮らしに寄り添ってきたテキスタイルなのだろう。

古くさいなんて思うこともあったかもしれないフランスの風景のなかでも、以前にくらべたら断然少なくなってきたと思うこの模様を、あらためて愛されてきた時間も含めて服にしてみたいと思った。今だからこそとてもフランスらしいのだとあらためて思う。

平 真実


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