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story

No.66 アンティークと暮らす 第1章 リネン編

まえがき

毎週末、父が新聞の間に大量に挟まれた折込み広告を抜きとり、新聞を広げる。
当時は新聞以上に厚く挟まれている広告を傍らに置き、私はそうやって無造作に置かれた広告のなかに週末に入る住宅の広告をみつけると、憧れの新しい白く明るい家に想像をめぐらせては、なんでウチはこんな古い家ばかりなんだと父を恨めしく思ったこともある。

古いものとの暮らしは私が幼少期にまで遡る。
古い洋館に住むのが好きだった父のせいか?おかげか?子供の私には恐怖でしかない、当時和洋折衷の古い一軒家の借家に住んでいた。
1軒目は木製の両開きのフランス窓は重くて建付けも悪くなっていたし、窓ガラスも固くて子供の手であけるにはひと苦労で、急な階段からは何度も落ちそうになった。2軒目に引っ越した家もやっぱり古い洋館だった。

真鍮のドアノブ、天井から下がった乳白色のガラスシェード、ステンドグラスをはめ込んだ玄関…。
子供の頃の記憶はなぜか接写のように切り取られて、触ったときの手の感触や家の匂いとともにふいに引きずり出される。今思えばそんな幼い頃の日常が記憶に深く刷り込まれて、私は今も古いものに囲まれることに安心感をおぼえるのかもしれない。


第1章 リネン編

亜麻と出会ってから私の暮らしにはひとつ芯のようなものができたように思う。生活のまんなかにリネンがあって生業にもなった。だからこそ私は麻という素材を俯瞰に見たいと思っている。古いとかあたらしいとか関係なくただ1枚の布として価値をみつめたい。
100年以上前のアンティークリネンは手紬、手織り、手縫いで、言葉にしがたい趣深さがあって私の暮らしにはかかせない存在になっている。

しっかりと織られた粗野な風合いの亜麻のシーツを、私は寝室のカーテンに仕立ててつかって長い。

シーツはもう始末されていて、テープを縫い付ければカーテンになるから、仕立てたというのはおこがましいのかもしれない。

ソファーに敷いているのも割と地厚な手織りのシーツ

ベッドには地厚な手織りシーツとモノグラムの刺繍が入ったトップシーツをつかっている。新旧にかかわらず亜麻のシーツの心地よさは格別。1年通して私はリネンのシーツで眠るが、とくにトップシーツを味わってみて。
デュベカバーを洗う手間が省けて便利ですし、夏はタオルケットなどのあいだにいれてひんやりとしたリネンの気持ちよさを感じることができる。

ナイティもリゼッタのマチルダと共に愛用している。アンティークはサイズがあえば実に気持ちがいい。

食事の際、テーブルマットのかわりにトーションを敷いてつかうこともよくある。
和食の時は大麻(ヘンプ)の細幅の布を敷く。するとなんだか料亭みたいに美味しそうに見える。向かい合わせなら2人分が1枚で済むから便利なとこもおすすめです。

古人のご婦人たちがさまざまに刺繍したプレイスマットはどれも手とは思えないほど美しい。手先の器用さに尊敬する。

私の古いものとの付き合い方はシンプル。分け隔てなくつかうこと。新しいものも古いものも同じように日常につかう。古人に対してのリスペクトは大切にしまい込むことではなく、つかいきることにあると思う。
穴のあいたシーツはクッションカバーに仕立てなおしたり、袋物になることもある。

先人の知恵や技術に敬意と想いをめぐらせながら自分の毎日をくりかえす。かつてのあたりまえがこれからも静かにつづきますように。

平真実


デザイナー平がフランスの蚤の市で長年集めてきた一点もののアンティーク品をリゼッタ二子玉川店にてご紹介しています。
DESIGNER’S CURATED 私の愛おしいアンティークたち
くわしくはこちらから

<日時>
Collection I
2026年5月29日(金)~ 6月7日(日)
リネン、カゴ、etc

Collection II
2026年6月26日(金)~ 7月5日(日)
本、額、ガラス、etc

<店舗>
リゼッタ二子玉川店

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