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story

No.24 冬のガラス

大きなカメリアのガラスは代表的なモチーフ。
ハイブランドでみたことがあるのはとても高価で豪華で手がでないものだった。


もともとアクセサリーのパーツをつくっていたムッシュウの曾おばあさんが、ココシャネルと出会い、ココにガラスのアクセサリーを頼まれたのがきっかけでアクセサリーを作るようになったのだそうだ。

ムッシュウはそんな素敵な逸話をしながら膨大なコレクションをみせてくれた。
こんな素敵なアクセサリーも今は軽くて丈夫な樹脂が主流だと彼は皮肉っぽく笑う。
でも手に持つとひんやりとして重みのあるそれは見た目にもガラスが持つ儚さからなのか重厚感があって温度が伝わってくるようだった。

私の気持ちはもうリゼッタの洋服に似合う、ながく大切にしたくなるアクセサリーを作れないかしら、とはやる心を抑えきれなかった。


このトロリとしたやさしい光を放つガラス細工は、バーナーワークといわれる技術でひとつひとつ手作業で作られる。
金属の枠たとえばそれは花びらだったり、葉っぱだったりする。
そのなかにバーナーで溶かしたさまざまな色のガラスを流し込んでいく。

手間のかかる作業だが、私には彼はあっという間に仕上げていくように思えた。


代々受け継がれてきた製法はパリのモードにはかかせない。
何冊もある古い注文台帳にはそうそうたる名高いデザイナーたちが、実際にデザイン画を描いて注文している。



かつてひとは手仕事の素晴らしさなど気づかずあたりまえに、時間をかけ人の持つ最大の技で美しいものをつくりだしていたのだろう。
だからこそ貴重で大切に愛でていたにちがいない。

時を経ても変わらずさらに美しいものそれには、今にはない濃密でゆっくりとした時間が生み出した本物だからだろう。

 


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