story
No.12 watage
家のまえの空き地に、この時期まんまるふわふわのたんぽぽのわたげが、毎日毎日空にむかって旅立っていきます。
観察してみると、なるほど興味深く、関心してしまいました。
少し寒さもゆるんだある日、地面に這いつくばっているたんぽぽに気づきます。
そして暖かくなるにつれ、その身をすこしづつお越し、花を咲かせます。
朝咲いていたたんぽぽは、夕方にはとじてしまいます。
たんぽぽは晴れた日にしか咲きません。
そうやってくりかえしながら昨日より今日、今日より明日と、大きくひらいていくのです。
そしてやがて頭を低くたれます。綿毛となるためです。
晴れた朝、たんぽぽのわたげがひらきます。花のときよりいっそう背をのばしいっきに春風にのって飛び立つために。
ふわふわと青い空をどこまでも・・・。