No.43 フランス窓のレース

No.43 フランス窓のレース

2019春夏コレクションに登場するフランス窓のレース。

南仏の照りつける太陽とうるさく鳴き続ける蝉。
それを一掃させるような木陰の涼しさ、乾いた土地に石灰岩の建物の窓には重厚で細工の施された鉄の柵。

そんな風景をイメージしラフを描いた。

埼玉県の工場を訪れたのは去年の梅雨。従業員は9名ほど。
イタリア製の機械、国内製の機械2台を50年ほど修理しながら使いつづけている。

レースの種類にもよるがリゼッタのオリジナルレースのほとんどはこの工場でつくられている。

丁寧にクライアントの意向に添いながら最善を尽くす工場の姿勢や感性は、営業担当の方も御社のレースはこの工場でないと作れません、と太鼓判をおす。

この工場はパンチ(紋紙)といわれる図案も柄師と呼ばれる職人がひと針ずつ決めて作成している数少ない工場のひとつ。

 

お願いしたラフをもとにピッチなども考えて6倍に拡大しどうやって糸を刺していくか打つ順番や位置を決めていく。
人の手だからこそできる細かなズレやひずみがリゼッタの求めているどこか人の手で刺したような温かみと素朴さを感じるレースにかかせない。

パンチは今、コンピューターでももちろんできる。むしろコンピューターでパンチを組む工場が主流で職業自体がなくなろうとしている。

手間と時間、熟練した技が必要な手作業に頼る工場はいまやそう多くはない。

でも私はコンピューターで組まれた紋紙はどこか通り一遍で味気なく思えてしまう。

落書きのようなラフも決して軽んじず、ラフに忠実に客の意図を推し量りながら指図を決めていくのは職人に培われた精神と、熟練した技が不可欠で私はその仕上がりは別物だと思っている。

パンチ次第でレースのイメージはだいぶ変わるのだということが服になればなおのことよくわかる。

パンチ(紋紙)ができると糸掛け作業。レースのイメージにあう糸の番手を決め、上糸と下糸(ボビン)の準備をする。

リゼッタは染色するため綿糸を使用。

 

下地は全長13.7mの水性ビニロンに刺していく。
柄に針数が多ければおおいほど時間がかかり、モチーフが小さければ何段も刺せる。

 

リゼッタのフランス窓のレースは1列できあがるのに4時間ほどかかる。
刺繍後に水性ビニロンを溶かしレースが帯状にできあがる。

工場は決して大きくはないが清潔できちんと清掃がいきとどいている。
社長をはじめ従業員の方々をみていると、製造業の高齢化は否めないが、ものづくりへの姿勢は動ずることがない。

ものづくりへの強固なこだわりや愛情は、こういうひとたちの手によって生かされ世の中で呼吸しつづけている。

2代目も仕事に励まれているのを目の当たりにし、ますます人の手が加わる製造業が少なくなるなか、たとえ小さな息だとしてもその価値を表現することができるブランドでありたいと強く思う。

平 真実






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