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story

No.62 時を重ねる家具

店内に置かれているテーブルや椅子、カウンターやシェルフのほとんどは100年くらいは経っているであろうものばかり。


籐で編まれた椅子や教会の椅子には背もたれに聖書入れがついている。これはどんなお店のカウンターだったのだろう、商店、銀行、役場…?


フランスの農家で使われていたと思われるテーブルは飾り気もなく質素だが重く天板の角が取れ丸みを帯び、パンや肉が並んだ豊かな食卓だったのだろうかそれとも…。どこかのカフェでたくさんの客人が囲んだであろうカウンターからは今にも高らかな笑い声が聞こえてきそうで。


そんなことを思いめぐらせ、ひとつ、ひとつ選んだ家具はどれも愛おしくてたまらない。 当時はさほど高価な家具ではなかっただろう使いこまれた家具は自然と磨きがかかり、光沢となんともいえぬ色味を醸し出している。

継ぎ目のない一枚板のテーブルやカウンター。その天板に使われている木はどれだけ大きな木だったのだろうと想像し、家具それぞれがもつ歴史に想いをはせる。


主のもとを離れ長い時代を生き抜いた家具たちにまた息を吹きこめることは私にとってとても幸せな作業。

ひとの手でつくられ、長い時間のなかで修繕を繰り返し、使われながら丸みを帯びた家具たちに出会ったことは 私にゆるがない思いを持たせ続けてくれている要因のひとつであることに違いない。


平真実


長年リゼッタの店舗什器として使用してきた家具を手放すこととなりました。
手から手へ受け継がれ、時代を超えてリゼッタに今ある古きものの数々は、デザイナー平がフランスで出合った1点ものです。

「リゼッタのヴィンテージ家具」くわしくはこちら

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