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かぎ針編み作家・藤田美帆さんインタビュー
極細のコットンレース糸を使いかぎ針編みで作られるFUJITAMIHOのアクセサリー。作家の藤田美帆さんにものづくりについてお話をうかがいました。
LISETTE:藤田さんの作品の鮮やかな色合いは草木染めから生まれたものですが、 作品作りのためにご自身でも植物を育てているそうですね。
藤田さん:はい。蓼藍(タデアイ)という種類の藍と、小鮒草(コブナグサ)を育てています。藍は生葉を使い、淡い青やちょっとくすんだ青に、小鮒草は、レモンイエローに近い黄色に染まります。
小鮒草で染めた黄色い糸をさらに藍で染めると黄緑色や青みがかった緑色が生まれます。
うまく染めるためにはたくさんの手間もかけなければなりませんが、染め上がった糸を見るたび心が踊ります。
LISETTE:たくさん時間と手間をかけた末にあのきれいな色が生まれるのですね。草木染めだからこそ感じる魅力、面白さはどんなところにありますか。
藤田さん:植物で染められた色はどれも優しく深みがあり、そして力強さも感じられるから不思議です。
この生きた自然の色があるからこそ、植物や自然の生き物をモチーフにしている自分の作品がより一層生きてくるのだと思っています。
実際に長く使っていくと、褪せて色が変化したり、逆に柿渋で染めたものは経年とともに色が濃くなりますが、そんな色の変化をまた魅力に感じ、長くそばに置いておきたいと思っていただけたらなにより嬉しいです。
LISETTE:藤田さんの作品に初めて出会った時、美しさや洗練された力強さのようなものを感じたのですが、ご自身ではそれについてどうお感じになりますか。
藤田さん:編み物やレース編みのアクセサリーというと、温かみがあって甘い印象になりがちですが、極細の糸をキッチリ編むことで編み物独特の温かさが抑えられているかなと思っています。
可愛らしさや美しさの中にも凛とした雰囲気が感じられるようにと思っているためそれが伝わったのでしょうか。あとはモチーフ選びにも気を付けていますし、もちろん草木染めの生きた色の力強さというのも反映されているかと思います。
LISETTE:作品づくりで大切にしていることはどんなところでしょうか。
藤田さん:種を蒔いて植物を育てたり、高枝バサミを持って山へ採取しに行ったり。砂浜で貝殻を拾い集めたり、風が通り過ぎた後の雑草の波に息を呑んだり、そういう私の日々を取り巻く小さな体験や感動を見落とさないようにしたいなと思っています。
作りたいものや挑戦したいことがたくさんあって焦る気持ちになることがあるけど、あまり力み過ぎず、日々のなにげない瞬間の美しさを大切に、今のものづくりをなるべく長く続けていけたらと思います。
その過程で出来上がった私の作品を見たり身に着けたりしてくださる皆さんが、何かハッとしたり感じたりすることがあればとても嬉しいです。
LISETTE:確かに藤田さんのインスタグラム(@fujitamiho_insta)を拝見していると、意図せず自然が生み出した美しい写真に心奪われるときがあります。生まれ育った秋田で制作されていますが、今の環境が藤田さんの作品に大きく影響していることが伝わりました。
藤田さん:決して山奥に住んでいるような環境ではないですが、小さい頃は藤の密林で友達と秘密基地を作ったり、シロツメクサをふんだんに使って冠を作ったり、道端の雑草や木の実を食べてみたり、貝殻や石を拾ったりして遊んでいました。
人の手があまり入っていない自然、たとえば樹木の木肌が見えないくらいツタが絡まっていたり、藤やアカシヤの花がゆらゆら揺れているような風景がいつも身近にあって、実際にそれらに触れて感じてきたことが、たしかに今のものづくりに繋がっていることの一つであり、今も大いに影響を受けていると思います。
見ているものもやっていることも昔と大して変わっていません(笑)。
秋田の豊かな自然に感謝ですね!
FUJITAMIHO アクセサリーオーダーフェア
リゼッタ鎌倉店:2月13日(水)-2月24日(日)/作家在店日2月16日(土)→終了いたしました。
リゼッタオンラインショップ:2月28日(木)-3月11日(月)
藤田美帆 FujitaMiho
秋田県在住。素材そのままの色を生かした生成りの糸と、植物をに出して染めた草木染の糸を極細のかぎ針で編み上げ、植物や自然の生き物をモチーフにしたアクセサリーやアートビーズを制作。