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野村レイ子さんインタビュー 後編

クスノキの箱にろうけつ染めの技法で野草や伝統的な文様を描いて制作する野村レイ子さんにものづくりについてお話しをうかがいました。

前編はろうけつ染めの工程を中心にご紹介。後編は箱のこと、ものづくりのきっかけなどのお話です。

木のぬくもりを感じて

野村さんの作品は手触りのよい箱も魅力的。あたたかな木のぬくもりが感じられ、ふたを開けたり閉めたりする時のカタンという音も心地よく使うほどにその良さが感じられます。『すべてクスノキを原料に木工場の職人さんに作ってもらっています。クスノキは木肌がなめらかでロウ書きがしやすいんです。他の木材でも試してみたけれど色も鮮やかに出て、白い部分も多いから好んで使うようになりました。』でも箱を調達するには苦労もあったそう。『長く箱を作ってくださってた職人さんが80歳で現役を引退されるときは必死になって新しく職人さんを探しました。なかなかクスノキで箱を作って下さる職人さんはいないから。でも頑張って探したおかげで、今の腕のよい職人さんに出会いました。

▲染色前のまっさらなクスノキの箱を見せてもらうスタッフ。すべて手作りの品で微妙に違いがあるのは手作りならでは。

制作のきっかけは偶然雑誌で見かけた箪笥

野村さんが30代のころ、雑誌で偶然見かけたろうけつ染めの箪笥がずっと心に残っていたそう。

『二人の子供が少し大きくなったころ、気になっていたあの箪笥を作る方を捜したんです、今のようにインターネットがない時代でしたからそれはもう大変で』
その方は大学でお教室をされていることを知り10年通いつづけ、その後本当は助手にならなくてはいけないところを、遠くて通えず作家として独立されました。

▲作家の野村レイ子さん

 毎回の個展でなにか一つは新しいことにチャレンジするようにしているのだそう。今回はリゼッタのリクエストで宝石箱にちょうどよいサイズの作品を作っていただきます。

 

▲作業場に積みあがった仕上がり途中の作品たち。これから最後の仕上げが待っています。

 リゼッタの店内にもよく飾るサンキライ。染色の途中段階でどんな仕上がりになるのか楽しみ。

制作するうえで大切にしていることはどんなことですか?

野草が好きで自宅のまわりにもたくさんあるからよく散歩にでかけるのですが、野草は人間の手が加えられていなく、それでも毎年必ず決まった場所に芽を出し花を咲かせることがえらいな~といつも感心するんです。
「今年も顔をみせてくれてありがとう」と思うそういう湧き上がる気持ちを大切に作品を作っていきたいです。 図鑑でないとなかなか見られないような珍しい野草にも出会い、見つけるたびに嬉しくなり、自分でどんな図案ができるかな~と考えるのがまた楽しいのだそう。

 旅先での出会いも大切に。

『あとは時間があるとよく旅行などに出かけます。最近はなかなか行かれないけれど、その土地の自然のある場所に出かけると
必ずヒントがあるんです、そういう出会いも大事かな。』と話します。
以前ネパールを旅したときに葉が繁っていたこと、北海道ではきれいなナナカマドを見つけたこと、盛岡を旅した時にみた忘れられない光景があったり、旅先での出会いも制作する原動力になっていました。

帰りのバス停までの道を野草の話をしながら歩きます。

 『この場所は冬になるとしみ出したわき水で太い氷柱ができるのよ』と聞いて驚きました。野村さんのいろんなおはなしからは、季節の移ろいを楽しみながら、自然の恵みに感謝する気持ちがひしひしと伝わってきました。

野村 レイ子展 ー秋の草花をおもうー
日時:10月16日(水)-10月27日(日)
場所:リゼッタ鎌倉店

 インタビュー前編はこちら

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